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百均の悲劇 [自作小説]

[100均の悲劇]

ある日、私は某100円均一(通称:100均)へ行きました。
「人が多い…」
人ゴミが嫌いな私はさっさと買い物を済ませて帰ろうと思いました。
「毛糸はどこだ?」
いつもたくさん置いてある毛糸が今日は1つも見当たりません。しかも私が買おうと思っていた色だけが。
そこで近くに居た店員に聞いてみました。
「あのー…。紫色の毛糸ってありますか?」
「あっ、少々お待ちください。」
ここで約20分も待たされました。ド素人のアルバイト店員だったようです。
20分後、諦めて帰ろうと思っていた矢先にさっきの店員がやってきて、
「すみません、在庫を切らしておりまして…」
これまでの時間がことごとく無駄になったことを知らされました。
「…」
怒っても毛糸が出てくるわけでもないので、親から頼まれたセロテープを買って帰ろうと思いました。
お目当てのセロテープがなかなか見つからず、やっと見つけたものの、非常に高い位置にあり取るのにずいぶんと時間がかかってしまいました。これはきっと身長が低い私へのいじめですね。
やっとの思いでセロテープを取った私は会計を済ませるためにレジへ行きました。

(さっさと帰ろうと思っていたのに…)
レジにはたくさんの人が並んでいました。しかしレジは1つ。いくら不景気でも人員削減は程々にしてほしいものです。
万引きをするわけにもいかないので渋々並んでいると、ふと前に並んでいるおばさんが持っているかごの中身が目に飛び込んできました。
「…!」
そのかごの中にはたくさんの紫色の毛糸が入っていました。
悠々とそれらを買っているおばさんに少し腹が立ちましたが、早い者勝ちなので仕方ありません。見なかったことにしました。
「お会計、1785円になります。」
(1つくらい譲れよ…!)
とか思いつつ並んでいると、そのおばさんは左手に持っていたバックの中をかき回し始めました。
(今探すなよ!…まぁ、財布がなければラッキーなんだけどな…)
そのラッキーは起こりませんでした。やがてそのおばさんは思い出したようにポケット探り、キラキラと光る高級そうな小銭入れを引っ張り出しました。
それからおばさんはお金を小銭入れから出して数え始めました。遅いです。
恐らくレジが1つしかないことも、たくさんの人が並んでいることもそのおばさんは目に入っていないと思われます。
「…」
やっと私の番がまわってきました。
「お会計、105円です」
(やっとまわってきた…ってあれ?)
5円玉が財布にありません。1円玉も4枚しかありません。そのほかの小銭も100円玉以外財布の中にありません。1000円札までもありません。
(し、しまった…。アニ●イトで1000円札を使ったんだった…。――あっ!)
財布の隅で1枚のお札を見つけました。
(おっ!これで・・・、でも2000円札か…。どうしよう…?最近はなかなか見ないし…)
後ろにはたくさんの人が待っています。
仕方なくその2000円札を使って親から頼まれたセロテープを買いました。
お釣をもらって100均を後にしました。

タグ:小説 100均


2009-01-31 22:30  nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(0) 
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